コラム

巡回指導対策 運転者台帳に関する未作成、不備などの違反

今回は運転者台帳についてお伝えしたいと思います。

運転者台帳のひな形は→こちら

近畿運輸局の行政処分につながる違反の上位が点呼、乗務記録、運転記録(タコグラフ)の関係の違反であり、いわゆる運行管理関係ですが、これらに続くものが運転者台帳に関する未作成、不備などの違反です。

運転者台帳というのは事業者が運転者の事故防止上の管理をするためのものです。

言わば、事故防止対策を各運転者に対して実施出来ているかどうかを事業者自身が一目で把握できる書類なのです。

例えば、運転者台帳に、適性診断受診状況、特別教育実施状況、健康診断受診状況について記載することになっています。

これらはすべて法律上、各運転者に実施しなければならない項目なので、すべての運転者について記載が必要です。

これらのことがそれぞれの運転者に関して出来ているかどうか、出来ていないならば何ができていないのかが、一目でわかるのが、この運転者台帳なのです。

そして事業者は出来ていないことを実施していくことになります。

ですから運転者台帳がないということは、事業者として運転者の管理状況を把握していない、言い換えれば、この事業者は把握する気がない、管理する気がないというように運輸局は判断することになります。

運転者の管理ができていないということは、いつ事故を起こしても不思議ではないわけですから、きちんと記載された運転者台帳があるのかないのかは非常に重要な問題なのです。

決して単に運転者の住所と氏名を記入すればいいだろうといった書類ではありません。

運転者台帳の中で特に重要な項目が先ほど申し上げた適性診断受診状況、特別教育実施状況、
健康診断受診状況
の各項目です。

まず、適性診断の中で法律上義務付けられているのが特定運転者にかかる適性診断です。

適性診断は自動車事故対策機構で受診できますが、今は民間の実施機関もあります。

民間の実施機関は→こちら

特定運転者とは、初任運転者、高齢(65歳以上)運転者、事故惹起運転者です。

初任運転者とは、運転者として新たに雇い入れた者です。

初任運転者が受診することが義務付けられているのが初任診断です。

初任運転者でも初任診断が免除される場合があります。

それは、雇い入れて初めてトラックに乗車する前3年間に初任診断を受診したことのある者は、
受診を免除されます。

ただし、受診結果の資料など受診したことがわかる公的な書類が必要です。

高齢運転者については適齢診断の受診が必要です。

65歳以上に達した日以後1年以内に1回受診させる必要があります。

その後は、3年以内ごとに1回受診することが義務付けられています。

事故惹起運転者については特定診断ⅠまたはⅡの受診が義務付けられています。

特定診断Ⅰの対象者は、死者又は重傷者を生じた交通事故を引き起こし、かつ、当該事故前の1年間に
交通事故を引き起こしたことがない者及び軽傷者を生じた交通事故を引き起こし、かつ、当該事故前の3年間に交通事故を引き起こしたことがある者です。

特定診断Ⅱの対象者は、死者又は重傷者を生じた交通事故を引き起こし、かつ、当該事故前の1年間に交通事故を引き起こしたことがある者です。

受診の時期は当該交通事故を引き起こした後、再度トラックに乗務する前に受診させることになっています。

以上の適性診断について、実施年月日、種類、診断結果の所見摘要について記載することになっています。


次に特別教育実施状況についてですが、これも各特定運転者(初任・高齢・事故惹起)ごとに教育の実施内容が異なります。

初任運転者・高齢運転者・事故惹起運転者の教育の実施内容は→こちら

特別教育について実施年月日、種類、内容を記載することになっています。

次に健康診断ですが、年1回受診させることになっています。

ただし、1カ月に4日以上(1週間に1日以上)1日の拘束時間に深夜22時以降早朝5時までの時間帯が少しでも含まれる場合は、6カ月に1回受診させる必要があります。

健康診断の受診年月日、健康状態を記載します。

運転免許証関係は、運転免許証の写しを貼付していただいても良いことになっています。

その場合は運転免許証に顔写真がありますから、運転者台帳の写真に代用できます。

事故・違反歴に関しては、運転記録証明を取得していただけるとよいと思います。

これは、事故惹起者に該当するか否かを把握するために必要です。

万一事故惹起者に該当する場合に特別な教育を受けていない場合は、特別な指導を行う必要があります。

特別な指導を行った場合は、特別教育実施状況に記載します。

記載漏れで以外と厳しいのは作成番号の記載漏れです。

作成番号は運転者の通し番号ですが、何でもない記載なのですが、監査を受けたある事業者が、
記載していないと違反だと運輸局の担当官に指摘されたことがあります。

以上が運転者台帳の記載上のポイントです。

なお、運転者台帳に関する違反に対する行政処分は次の通りです。

1作成
①5名以下作成なし 警告  再違反は10日車
②6名以上作成なし 10日車 再違反は20日車
③すべて作成なし  20日車 再違反は40日車

2.記録事項等の不備 警告  再違反は10日車

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