コラム

企業の経営理念③

今回は、事業をより発展させるために必要
不可欠であるこの「経営理念」の重要性
ついてお伝えしたいと思います。

経営の神様と言われる松下幸之助さんは、
このようにおっしゃいました。

人間にとって最も崇高な行為である事業は
必ず成功するようにできている。

ただしそれには、3つの条件があり、
それは、「絶対条件」、「必要条件」、
「なくてはならない付帯条件」の3つ
であると。

一番目の絶対条件とは、「経営理念を確立
すること」です。

幸之助さんは経営理念を確立して、
それを内外に発表することが欠かせないと
おっしゃいます。

そしてこの経営理念が自社内で確立すれば、
50%はもう成功したようなものだという
のです。

二番目の必要条件とは、「社風」です。
健全な社風により、経営理念は社内に浸透
してきます。

社風の確立が成功の30%を占めると
幸之助さんはおっしゃっています。

残り20%を占める付帯条件は「戦略」です。
では、経営理念とはどういったもので
しょうか?

それは経営者の心の中にあります。
自分の心の内側を見て、自分がこの「事業」を
通じてどうしたいのか、毎日毎日自身に
問いかけ、出した答えが経営理念になるのです。

「切に念う(おもう)ことは必ず遂ぐる也」
・・これは道元禅師の言葉です。

切に念えば、必ずなし遂げることができる
という意味ですが、「切に念う」からこそ、
そこに方法が生まれてくるのです。

なかなか業績が伸びない、新しい商品が
開発できないなど、いろいろな問題が
起こったとしても、「何としても良い会社に
したい」「社会や顧客に認められる会社に
発展させていきたい」と切に念うと、
それをなし遂げるために「方法」は
いくらでも見つかるということです。

ここでいう「方法」が戦略にあたります。
ですから、戦略というのは、理念の深さが
あってこそ、初めて生まれるものだという
ことになります。

つまり理念とは、「自分の会社をこういう
ふうにしたい」という経営者の心の底からの
強い念いに他なりません。

そして、会社の繁栄、衰退は経営者の心の
在り様によって決まるのです。

みなさまご存じの宅急便で有名なヤマト
運輸にも経営理念があります。

「ヤマトグループは、社会的インフラ
としての宅急便ネットワークの高度化、
より便利で快適な生活関連サービスの創造、
革新的な物流システムの開発を通じて、
豊かな社会の実現に貢献します。」という
ものですが、その上位概念に創業の精神
である社訓があり、基本的な心構えが
盛り込まれています。

社訓は、ヤマトグループ経営理念の原点
であり、今後も脈々と継承されていく
次の3つの考え方です。

一、ヤマトは我なり 

(ヤマトグループは、「人」を会社の一番
大切な財産と位置付けています。

それは、社員一人ひとりの創意や工夫、
努力の結集がヤマトグループの企業として
の価値を生み出しているからです。

「ヤマトは我なり」という一文は「全員経営」
の精神を意味します。

社員一人ひとりが「自分はヤマトを代表
している」という意識をもってお客様や
パートナーと接し、自ら考えて行動して
ほしい、という思いを表しています。

自ら考えて行動することで会社は成長し、
社会の発展に貢献し、自分や家族の幸福
にもつながります。) 

一、運送行為は委託者の意思の延長と知るべし
 
(ヤマトグループの事業の原点にある
「運送行為」は、単に物を運ぶことだけ
ではなく、お客様(委託者)のこころ
(意思)をお届けし、お客様(委託者・
受取人)に喜びをもたらすことです。

お客様にとって安心で信頼できるサービスを
提供し続けるために、社員一人ひとりが
まごころをもって「どうしたらお客様に
更に満足していただけるか」ということを
常にお客様の立場に立って考えながら、
品質の向上や新たなサービスの開発に
取り組む事が大切です。

それが、豊かな社会の実現に貢献し、企業と
しての永続的な成長につながっていきます。)
 
一、思想を堅実に礼節を重んずべし

(ヤマトグループは、一人ひとりの社員が
責任感を持って自ら考え行動する全員経営を
会社の基本としています。これを実践する
ためには、社会の一員として法律やルールを
遵守するとともに、一人ひとりが高い倫理観を
持って行動することが大切です。

礼儀や節度、言葉遣いや振る舞いはその人の
人格を表します。

そして社員一人ひとりが人格を高めることで、
企業のより良い社風と社格が培われていきます。

すなわち、社内外を問わず常に言動に気を配り、
自己啓発や自己成長に努め、社員一人ひとりが
ヤマトグループで働くことに誇りをもって成長
していくことが、会社の成長にも繋がるのです。)

この社訓は、初代社長の小倉康臣さんが制定
したものですが、自分が壁にぶつかり、
悩み苦しみながら、その中で自分を支える
ものとして出てきた言葉だそうです。

だから社員はもちろんのこと、多くの人々の
心を打つのです。

作成を外注に依頼した経営理念では、効果が
ありません。
そこに経営者の信念が宿らないからです。

自分がいろいろな経験をして、壁にぶつかって
5年、10年と思い悩んだ末に「あ、これだ。
自分はこれをするために生まれてきたのだ。
だからこの仕事をしているんだ」というものが
経営理念に反映されて、初めて機能するのです。

単に私利私欲を追うのではなく、人生で達成
したい高い目標を持つことが大切なのです。

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