コラム
キャリアアップ助成金
今回は、「キャリアアップ助成金」について
ご紹介いたします。
1.社会保険適用時処遇改善コース(現行)
現行のキャリアアップ助成金に「社会保険
適用時処遇改善コース」があります。
これは、年収(106万円)の壁対策として、
令和5年10月にスタートしました。
助成金を活用することで、労働者は年収の
壁を意識せず働けるようになり、事業主に
とっても人手不足解消につながります。
社会保険の加入により、短時間労働者の
収入を増加させる取り組み(手当支給や
労働時間延長)を行う事業主に対して、
3年間で最大50万円(同額は中小企業が
対象)が支給されます。
尚、現行のコースは令和7年度末までの
暫定措置とされています。
2.短時間労働者労働時間延長支援コース(新)
健康保険の被扶養者認定基準に当たる
年収(130万円)の壁による短時間
労働者等の就業調整への対策として、
令和7年7月からキャリアアップ助成金に
「短時間労働者労働時間延長支援コース」
が新設されました。
今回新設されたコースは現行の助成金の
「労働時間延長メニュー」に選択肢が
広がったものと言えます。
被用者保険への加入に伴い、短時間
労働者の収入を増加させる取り組み
(賃金増加や労働時間延長)を行う
事業主に対して、2年間で労働者1人
当たり最大75万円(1年目50万円、
2年目25万円、同額は小規模企業
<30人以下>の場合)が支給されます。
「130万円の壁」を超えると、
社会保険料の負担が増加することから、
現行のコースよりも労働時間の延長幅を
広く設定しています。
さらに、長期の職場定着とキャリア
アップを図るため、2年目に労働時間の
延長または処遇改善の措置(基本給の
5%増、又は昇給、賞与、退職金制度
の適用)を実施する場合も助成金対象と
なります。
支給申請の上限人数は設定されません。
尚、新コースは当分の間の暫定措置と
なりますが、その終期については決まって
おりません。
3.助成対象
新設された短時間労働者労働時間
延長支援コースの対象となるのは、
次のような企業で働く有期雇用労働者です。
・従業員51人以上の企業では、
一週間の労働時間が20時間未満
かつ、年収が106万円を超え
130万円未満の短時間労働者
・従業員50人以下の企業では、
一週間の労働時間が30時間未満で
被用者保険 に加入していない
短時間労働者
・被用者保険非適用事業所で働く
短時間労働者
上記の労働者のうち、次の要件を満たす
場合に助成金の対象となります。
➀雇用している短時間労働者で、
新たに社会保険に加入した方がいる。
②社会保険加入日の6カ月前の日以前から
継続して雇用されている。
③社会保険加入日から過去2年以内に
同事業所で社会保険に加入していなかった。
④社会保険の加入日から2カ月以内に、
該当労働者の週所定労働時間を
一定時間延長することができる。
但し、④の要件を満たせなくても、
現行の「社会保険適用時処遇改善コース」
を活用できる場合があります。
この他にも、助成金の支給には要件が
あります。
4.申請手続き
短時間労働者労働時間延長支援コースの
助成金を受けるためには、コース実施
(社会保険加入日)の前日までに、
管轄の労働局へキャリアアップ計画書を
提出する必要があります。
6カ月間、計画通りに賃金増加や
労働時間延長を実施(この取り組みを
1年目の取り組みといいます)した後、
2カ月以内に支給申請(1回目)を行います。
2年目の取り組みを行う場合は、
社会保険加入後1年間、基本給の5%増、
又は昇給、賞与、退職金制度の適用
(この取り組みを2年目の取り組みと
いいます)を行います。
支給申請(2回目)は社会保険加入後
1年6カ月経過した後、2カ月以内に
支給申請書の提出が必要となります。
やはり、助成金の給付を受けるには
条件が整うのは勿論のこと、相応の
資料を揃える必要もございますので、
しっかり事前準備を行ったうえで
申請頂ければと存じます。