コラム

労働統計について➁

今回は、「労働統計」についてご紹介いたします。

1.正社員以外の賃金考慮要素、最低賃金が6割

厚生労働省は7月11日、労働政策研究・
研修機構が実施した2024年の「最低賃金
の引き上げと企業行動に関する調査」結果を
公表した。

それによると、パート・アルバイトの賃金
決定の考慮要素として、地域別最低賃金と
回答した中小企業が約6割(60.9%)を
占め、最も多い回答となった。

正社員の賃金決定要素としては、自社の業績が
約5割(49.5%)を占めて最も多いが、
地域別最低賃金も24.7%に及んだ。

調査は2025年1月に、従業員規模300人
未満の中小企業1万9,922社を対象に実施し、
8,666社の回答を得た。

2.50人未満事業所のメンタルヘルス対策実施は5~7割

厚生労働省は8月7日、令和6年労働安全衛生
調査結果を公表した。

その事業所調査によると、メンタルヘルス対策に
取り組んでいる事業所は労働者50人以上の
事業所で9割以上(94.3%)となる一方、
同30~49人の事業所で約7割(69.1%)、
同10~29人の事業所では5割超(55.3%)
となった。

対策に関してはストレスチェックの実施と回答
した事業所が多く、労働者50人以上の事業所で
約9割(89.8%)を占めた。同30~49人の
事業所は57.8%、同10~29人の事業所は
58.1%と、いずれも6割弱だった。

調査は、令和6年10月末時点の状況について
8,304事業所の回答を集計した。

3.外国人雇用「労働力不足解消のため」が約7割

厚生労働省は8月29日、令和6年外国人雇用
実態調査の結果を公表した。

雇用保険被保険者数5人以上の事業所で雇用
された外国人労働者数は約182万人で前年
(約160万人)から増加。

雇用する理由は「労働力不足の解消・緩和の
ため」が約7割(69.0%)を占め最多だった。

月間決まって支給する現金給与額は27万
4,900円で前年比2.7%増。

入国までにかかった費用総額は「20万円以上
40万円未満」(22.6%)が最も多かった。

調査は令和6年10月~11月に実施。
3,623事業所と外国人労働者1万
1,568人の回答を集計した。

4.19歳以上23歳未満の年収要件が150万円未満に

厚生労働省は7月4日、19歳以上23歳
未満の被扶養者(配偶者除く)に係る認定に
関するQ&Aについて事務連絡を発出した。

令和7年10月から健康保険の被保険者の
認定要件のうち、認定対象者が19歳以上
23歳未満である場合は、年間収入に係る
要件を130万円未満から150万円未満
として取り扱う。

令和7年度税制改正において特定扶養控除の
見直し等が行われることを踏まえた措置。

年齢要件はその年の12月31日現在の年齢
で判定され、学生であるか否かは問われない。

5.働く60歳以上の8割超が就業に意欲

内閣府は6月10日、令和7年版の高齢
社会白書を公表した。

それによると、仕事をしている60歳以上
の人のうち、8割超(83.7%)が70歳
またはそれ以上働きたいと答えており、
高齢期にも高い就業意欲を持っていることが
うかがえる結果となった。

高齢者の労働力人口は946万人で、年齢別に
見ると65~69歳が約400万人、70歳
以上が約546万人。

労働力人口総数6,957万人に対して
13.6%を占めており、長期的に上昇
傾向にある。

6.職場における熱中症、死傷者数が過去最多

厚生労働省は5月30日、令和6年の職場に
おける熱中症による死傷労災の発生状況を
発表した。

職場の熱中症による死傷者数(死亡及び
休業4日以上)は1,257人と前年から
151人(14%)増加し、統計を取り始めた
2005年以降最多。死亡者数は31人で、
3年連続で30人以上となった。

職種別に死傷者数を見ると、製造業235人、
建設業228人、運送業186人の順で続いて
おり、約4割が製造業と建設業で発生していた。

令和2年以降の5年間で、熱中症による死傷者は
建設業と製造業の2業種で多く発生しており、
いずれの年も2業種の死傷者数が全体の約4割を
占める結果となった。

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