コラム

IT点呼の導入について

近年、運送業界ではドライバー不足への対応や
労働時間の削減、さらには安全管理の高度化を
目的として、IT点呼の導入が進められています。

2024年4月からは遠隔点呼や自動点呼の制度化も
本格的に始まり、これを機に導入を検討する
運送会社が増えています。

しかし、機器の導入には一定の費用が掛かるため、
補助金制度を上手に活用することが重要です。

現在、IT点呼の導入に活用できる補助金としては、
主に国土交通省が実施するものと、各都道府県
トラック協会が実施するものの二種類があります。

まず、国土交通省の「事故防止対策支援推進事業
(過労運転防止のための先進的な取組に対する
支援)」では、遠隔点呼機器や自動点呼機器など
の導入費用の一部が補助対象となります。

補助率は2分の1とされ、1件あたりの上限は
80万円です。

複数拠点で運行管理体制を整備したい会社や、
高額なIT点呼を導入して管理を効率化したい
会社には特に向いている制度といえるでしょう。

ただし、この補助金は年度ごとに予算が設定され
ており、募集期間も例年1回(夏頃から約半年間)
に限られます。

年度途中で予算が上限に達すると早期に締め切ら
れる場合もあるため、導入を検討している場合は、
早めの情報収集と申請準備が欠かせません。

一方、各都道府県のトラック協会が実施する
IT点呼導入支援事業」では、会員事業者を対象に、
機器の購入費用やクラウド使用料の一部が助成
されます。

補助上限は地域によって異なりますが、一般的
には1台あたり10万円で、Gマーク認定事業所の
場合には20万円程度まで上限が引き上げられます。

国の補助金に比べると申請手続きが簡単で、
募集期間も比較的柔軟に設定されているため、
初めてIT点呼を導入する会社や、比較的安価な
機器で運用を始めたい会社にとっては利用し
やすい制度といえます。

IT点呼を比較的安価に導入できる会社も増えて
おり、その自動点呼の費用例をご紹介します。

紹介する会社は、1か月の点呼の回数に応じて、
ライセンスの年額が変動します。一か月あたり
400回までの点呼で年額30000円、1000回までの
点呼で年額72000円になります。

初期費用は、専用のアルコールチェッカーが
約2万円、体温計が約2万円、血圧計が約1万
5000円、点呼に必要なタブレットや監視カメラは
専用の物が必要ないため、お持ちの物を使用する
ことができます。

事業規模や既に所有している機材の状況にもより
ますが、1年分のライセンス料を含む初期費用を、
トラック協会の補助金の範囲内で抑えることも
可能です。

IT点呼の導入は、単なる人手不足対策にとどまらず、
ヒューマンエラー防止、安全意識の向上、さらには
点呼記録の自動保存によるコンプライアンス強化など、
経営的なメリットが非常に大きい取り組みです。

導入に際しては、自社が整備しようとする点呼
体制に必要な機器の価格帯や、補助率・補助
上限額を踏まえた補助制度の選択が重要となります。

比較的高額な機器を導入する場合には、上限額が
大きい国土交通省の補助金が適しており、一方で
クラウド型点呼システムなど周辺機器が比較的
安価な設備で段階的な導入を進める場合には、
トラック協会の助成制度の方が実情に合うケースが
多く見られます。

このように、自社の運行形態や将来的な経営計画
に加え、導入機器の費用に応じて最適な制度を
選択し、補助金を有効的に活用しながらIT点呼の
導入を着実に進めていくことが求められます。

ベストサポートグループでも、事業規模や運行形態に
応じた適切な機器のご提案や、最新の補助金情報の
ご提供を通じて、スムーズなIT点呼導入をサポート
してまいりますので、お気軽にご相談ください。

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