コラム

スポットワークについて

今回は「スポットワーク」について
ご紹介いたします。

1.スポットワークとは

スポットワークという働き方を、ご存じで
しょうか。

スポットワークとは、スキマバイトとも
呼ばれ、短時間・単発の雇用契約のもとで
働く形態を指します。

スポットワークの雇用仲介を行う事業者の
多くは、提供するサービス(雇用仲介アプリ)
によって、企業と求職者のマッチング、
労働条件通知書交付の代行、業務終了後の
賃金の立替払いなどを行います。

有名なサービスには「タイミー」「シェア
フル」などといったものがあります。

企業側にとっては一時的に必要となった
労働力を手軽に補うことができ、一方、
労働者(スポットワーカー)側にとっても、
自身の都合に合わせて空き時間に働くことが
できるため、双方にとって利便性が高く、
雇用仲介アプリの登録者数や利用件数は
急増しています。

運送業では、運転手の横乗り・倉庫内作業
といった職種でスポットワーカーを活用
している企業が見られます。

2.スポットワークの活用調査

2024年11月に帝国データバンクが、
スポットワーク(スキマバイト)を請け負う
「スポットワーカー」の活用についての
企業アンケートを行ました。

企業全体としては、「既に活用している」が
8.3%、「活用を検討している」が5.3%、
「検討はしていないが興味はある」が24.5%
だった。

合計すると『活用に前向き』な企業が38.1%
という結果でした。

「活用に前向き」な企業においては「最低
賃金の上昇に加え、新規人材の確保も容易
ではないため、活用を検討している」など、
人手不足への対応が背景にある企業が多く、
また、「働き手の空き時間を利用できるので、
会社全体の生産性が上がり、良いと考える」
とのコメントも上がりました。

他方で、「スポットワーカーの活用は人手
が足りない隙間の時間を埋められるメリットが
あるが、さまざまな人間が入れ替わることで
内部的な情報漏洩も考えられ、検討段階に
とどまっている」や「人手不足の解消には有効
だと思うが、労働者の質が分からないため、
望んだ成果を得られないなどの懸念点がある」
というように、興味はあるもののリスク管理や
採用ミスマッチに関する不安から活用を躊躇
する様子もみられました。

活用に「興味はない」企業からは、作業の
正確性やスピードを担保することが難しい」
「安全管理や品質管理の観点からスポット
ワーカーの活用は現実的ではない」「受け入れ・
教育コスト、業務の分担など、スポットワーカー
を受け入れるためのコストや労力がかかる」
といった懸念の声が上がりました。

スポットワーカーの「活用に前向き」な企業の
割合を業種別でみると、『小売』(50.6%)、
『運輸・倉庫』(46.8%)でした。

『運輸・倉庫』では「季節要因への対応として
一時的にスポットワーカーを雇っている」という
声があり、時期による働き手の需要変動が激しく、
単発で対応しやすいことが適していると考え
られます。

3.スポットワークの問題

企業にとって有力な選択肢として期待される
スポットワークですが、利用件数の伸びと
ともに労使間トラブルも全国の労働局や労働
基準監督署に寄せられるようになりました。

連合による「スポットワークに関する調査
2025」によると、スポットワークで
働いている際に仕事上のトラブルを経験した
ことが「ある」と答えた労働者は半分弱
(46.8%)に及びました。

トラブルの内容(複数回答)は、「仕事内容が
求人と違った」(19.2%)、「業務に対して
十分な指示や教育がなかった」(17.7%)、
「労働条件(賃金や労働時間等)が求人情報と
違った」(16.5%)、「同じ職場の他の労働者と
労働条件が違う」(16.0%)などが上位に
上がりました。

4.スポットワークにおける留意事項

厚生労働省は7月4日、スポットワーカーに
対する適切な労務管理を促すことなどを
目的としてリーフレットを公表。

雇用仲介を行う事業者が加入する一般社団法人
スポットワーク協会に対して、その周知を
要請しました。

リーフレットでは、「事業主とスポット
ワーカーが直接労働契約を締結する」
ことが改めて周知されました。

アプリを通して応募が完了し、労働条件の
通知や賃金支払い等も仲介業者が代行する
その手軽さゆえ、これまでスポットワーカーを
直接雇用していると認識していな事業主も
少なくなかったことが背景にあると見込まれ
ます。

あわせて労働契約の締結後には、事業主に
労働基準法等を遵守する使用者としての
義務が生じることを強調しています。

スポットワークは企業側・働き手の双方に
とってメリットの多い雇用形態の一つです。

企業がスポットワーカーの労務管理を適正に
理解し、労使ともにルールを守ることに
よって活用できる場面が広がっていくと
思われます。

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