コラム

法制度の緩和措置

今回は、「法制度の緩和措置」について
ご紹介いたします。

1.健康保険被扶養者の年収要件

健康保険の被扶養者と認定される要件は、
年収が130万円未満であることです。

但し、19歳以上23歳未満(被保険者
の配偶者を除く)は150万円未満、
60歳以上の者又は障害者(障害年金の
受給要件に該当する程度)は180万円
未満となります。

上記の要件に加え、その収入について、

①認定対象者が被保険者と同一世帯に
属している場合は、被保険者の年間収入
の2分の1未満であること、

②認定対象者が被保険者と同一世帯に
属していない場合は、被保険者からの
援助による収入額より少ないこと、

のいずれかであれば、被扶養者に認定
されます。

現状、被扶養者の収入算定については、
過去の収入、現在の収入、又は将来の
収入の見込などを総合的に勘案して、
今後1年間の収入見込みが算定される
ことになります。

2.令和8年4月以降の認定基準

厚生労働省は10月1日、「労働契約
内容による年間収入が基準額未満である
場合の被扶養者の認定における年間収入
の取扱いについて」として、健康保険の
被扶養者の認定基準を見直す方針を
示しました。

例えば、労働契約に明確な規定がなく、
契約段階では見込むことが難しい時間外
労働に対する賃金は、被扶養者認定要件
の年収に含めない取扱いとなります。

被扶養者認定の適否を分かりやすく
することで、認定対象者の就業調整を
回避するのが狙いであり、令和8年4月
1日からの適用となります。

つまり、時間外労働や休日出勤など、
当初想定していなかった臨時収入等により、
結果的に年間収入が基準額以上になった
としても、その収入が社会通念上妥当な
範囲に収まる場合には、これを理由に、
被保険者としての取扱いを変更しない
ことが明確化されます。

3.認定の可否は労働条件通知書等で確認

保険者が行う被扶養者認定の適否は、
次の内容で確認されます。

・事業主から交付された労働条件通知書
 等の労働契約内容がわかる書類の添付
・認定対象者の収入が「給与収入のみで
 ある」旨の申し立て

尚、労働契約が更新された場合や労働契約
に変更があった場合には、被扶養者に係る
確認を実施することとし、条件変更の都度、
その内容がわかる書面類の提出が必要と
なります。

また、給与収入以外に他の収入(年金収入
や事業収入等)がある場合における年収の
取扱いについては、従前のとおりで変更は
ありません。

4.事業主に対する労災処分の通知

厚生労働省は10月9日、労働政策審議会
労働条件分科会労災保険部会を開催し、
労働保険の支給・不支給決定処分に関する
事実を事業主に対して通知することや、
メリット制の適用を受ける事業主に対して
労災保険率の算定基礎となった労災保険
給付を通知することの是非を審議しました。

現行では、いずれの情報も事業主には
通知されていませんが、使用者側は
情報提供を要望しています。

労働者側は、メリット制の対象となる
労災保険給付に関して、本人の労働災害が
保険料の増額として企業に経済的損失を
与えたことが可視化されるのは、労災
申請をためらう理由になり得るとして
反対をしています。

労災保険制度のあり方を検討した研究会の
中間報告では、事業主の手続保障の観点
から情報提供することが適当であると
提言しています。

5.法定休日は「特定」する見直しの方向で労使一致

厚生労働省は10月27日、労政審労働
条件分科会を開催し、法定休日と連続勤務
規制などを論点として審議を進めました。

法定休日に関しては、休日を特定しやすく
すべきとの観点から、特定する方法や変更
(振替)の手続きなどが、今後の検討課題と
されました。

一方、連続勤務規制は、現行の休日規制
では最大48日連続で勤務することが可能
であり、規制を強化する方向で、労使が
一致しました。

今後は、災害時や特に必要な場合に
連続勤務を認める例外のあり方が論点に
なります。

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