コラム

労基署の調査とは?

さて、今月は、労務に関するお話として、
「労働基準監督署(以下、労基署)による調査
をテーマにお話していきます。

「労基署の調査なんてめったにないから大丈夫!」
「たかが行政による調査やろ!?放っておいても問題ないよ!」
答えから言いますと…

その考え方、まずいです…

では、なぜ、まずいのか…
それは、
労基署による調査拒むことはできないからです。

拒否できないのは、この調査は、
法律(労働基準法・労働安全衛生法など)に基づいて行われるものだからです。

ちなみに、調査を拒否したり、妨害したり、虚偽の書類を提出したり、
監督官へ虚偽の陳述をしたりすると、
30万円以下の罰金に処せられることがあります。

また、場合によっては、
送検」・「事業所名の公表」といった厳しい措置がとられることもあります。

また、この調査は突然行われることが多いです。
いわゆる、全国の事業所の中から無作為抽出で行われたり、
ときには、
従業員からの労基署に対する申告・相談が
きっかけとなって行われたりすることもあります。

では、なぜ、労基署にはこのような大きな権限が与えられているのでしょうか。

それを紐解くために、
実際に調査を主体となって行う、「労働基準監督官」(以下、監督官)
に焦点を当ててお話します。

実は、この監督官ですが、ただの公務員ではありません。
行政上の権限だけでなく、司法上の権限、つまり
警察官と同じような権限」を持っているのです。

「警察官と同じような権限」とは、具体的には、

・捜査

・逮捕

・差押え

・送検

の権限を持つ、ということです。

また調査は、監督官が会社に来て行う場合だけでなく、
指定された日に、会社の代表者や担当者が労基署に赴いて行う方法が
とられることもあります。
この場合、「何の連絡をすることもなく、指定された日に労基署を訪れない」、
といったことは避けるべきでしょう。

非協力的な会社と判断され、より厳しい態度で
調査を進められてしまう可能性が高いからです。

このように、労基署による調査に対しては、
拒否等、非協力的な態度をとらないことはもちろん、
真摯に対応することが吉であるということが
お分かりいただけたかと思います。

では、調査の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。

労基署による調査ですが、正式には

「(臨検監督)」(りんけんかんとく)

と言います。

臨検監督には、以下の4つの種類があります。

①定期監督

行政の年度計画に基づいて行われるもの
(管轄内の会社から抽出して行う)

②申告監督

労働者からの相談・申告をもとに行われるもの

③災害時監督

労災事故が発生した場合に行われるもの

④再監督

①~③の後、改善がされているかを確認するためのもの

では、ここからが本題、
「調査は、事前に予告があるのか、抜打ちなのか」
ですが、答えは、
「事案によって異なる」
です。

事前に会社に日時を通知することで、調査の実効性が確保できないと労基署が判断するケースでは、
事前の通知はなく、抜打ちで行われます。

例えば、

・時間外労働の実態確認

・36協定締結の有無の確認

・就業規則の備置き状況の確認

といった目的で調査を行う場合、
事前通知をすると調査の効果が薄くなるので抜打ちの場合が多いようです。

一方、会社関係者への事情聴取が必要な事案については、
調査前に会社に通知をした上で行われることが多いです。
(最近はコロナの影響もあってか、労基署に行って
調査を受ける、来署型の調査も増えています。)

事前通知がある場合は特に、社労士等に立会いを依頼することで、
スムーズに調査を進めることができるというメリットがあります。

今回のお話で、労基署による調査を軽視しないほうがよいことが
お分かりいただけたのではないでしょうか。

そして、何よりも、
日々の労務管理をしっかり行っていただく、
すなわち、
当たり前のことを当たり前にする
ことが、一番の調査対策であり、ひいては、御社の業績アップにもつながっていきます。

今回のお話が、少しでも
皆様のお役に立てれば幸いです。

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