コラム

外国人労働者に対する適切な雇用管理

外国人労働者に対する適切な雇用管理」について
ご紹介させて頂きます。

1.「雇用に求められる2つの責務」

2021年はコロナ禍にもかかわらず、日本で働く
外国人労働者数、及び、外国人労働者を雇用する
事業所数ともに、過去最高を更新したとの報告が
ありました。(労働者数約173万人、事業所数
28.5万箇所)

日常生活で、働く外国人労働者を見掛けることが
一般的になっており、外国人が、社会の一員として
安心して働け、生活できる環境づくりが不可欠と
なっております。

そこで、外国人労働者を雇用する事業主にとって
求められる責務として、社会保険労務士の立場から、
次の2つを挙げさせていただきます。

一つ目は、雇入れ時、離職時の届出、二つ目は、
外国人雇用管理指針に基づく適正な雇用管理です。

特に二つ目は、日本人と同様に労働法令、及び、
労働社会保険関係法令をしっかり遵守したうえで、
外国人特有の事情に配慮した雇用管理を実施する
ことが重要になってきます。

2.異文化を理解する

外国人の文化を理解するコツとしては、
「郷に入っては郷に従え」という日本人的考えを、
一旦、脇に置くところから始めることです。

文化・習慣、宗教のなかには、そう簡単に変える
ことができないものがあることを、しっかり理解
しておく必要があります。

例えば、日本では、色々なものを食べる文化があり、
昨日食べたものは、今日は食べたくないという
人が多いと思います。

しかし、世界的には、毎日ほぼ同じものを食べる
文化の方が、多数派となっています。

そのため、日本人が、毎日カレー味のものしか
食べられない国や地域で暮らすことになると、
馴染むのに苦労するのは、容易に想像がつくと
思います。

つまり、日本で働く外国人労働者が、言語や習慣を
日本人に合わせようと努力するだけではなく、
日本の企業からも、彼らに歩み寄ることが重要なの
です。

3.法令上の区別なし

労働社会保険諸法令上は、国籍によって区別して
いる規定は殆どなく、例外的に、外国人が本国に
帰国し再来日する予定がないときに受け取る年金
(脱退一時金)など、ごく一部の規定に限定されます。

ところが、実際には、日本人と全く同じように適用
できるわけではありません。

例えば、来日したばかりの外国人が、申請に必要な
住民登録やマイナンバーを取得するには、少なくとも
2~3週間は掛かりますし、住居が定まるまでの
仮住まい(ホテル、寄宿舎など)の間の社会保険の
申請などは、一般の日本人と同じ、というわけには
いきません。

また、母国に扶養家族が住んでいる場合の取り扱い
についても、国家間での取り決めなどが複雑にからみ
手続きが煩雑になる場合があります。

とはいいましても、どんな場合でも対処方法は
存在しますので、お悩みの際は、専門家にご相談頂き、
外国人労働者の方が一日も早く、働きやすい環境を
手に入れられるようご尽力いただければと存じます。

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