コラム

運転者向け指導教育12項目(4項目~6項目)

一般運転者指導教育初任者教育共通の指導内容である指導教育12項目
内容の具体的なポイントについてお伝えいたします。
前回は、指導教育12項目のうちの(1)~(3)項目までのポイントについて
お伝えしました。今回は(4)項目以降のポイントをお伝えいたします。
改めて、12項目の内容を見てみましょう。

⑴ 事業用自動車を運転する場合の心構え
⑵ 事業用自動車の運行の安全を確保するために遵守すべき基本的事項
⑶ 事業用自動車の構造上の特性
⑷ 貨物の正しい積載方法
⑸ 過積載の危険性
⑹ 危険物を運搬する場合に留意すべき事項
⑺ 適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況
⑻ 危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法
⑼ 運転者の運転適性に応じた安全運転
⑽ 交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因並びにこれらへの対処方法
⑾ 健康管理の重要性
⑿ 安全性の向上を図るための装置を備える事業用自動車の適切な運転方法

では、4項目目からお伝えいたします。

⑷ 貨物の正しい積載方法

貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針
(以下「指針」)では、次のように書かれています。
『道路法(昭和27年法律第180号)その他の軸重の規制に関する法令に基づき
運転者が遵守すべき事項を理解させるとともに、偏荷重が生じないような貨物の
積載方法及び運搬中に荷崩れが生じないような貨物の固縛方法を指導する。
また、偏荷重が生じている場合、制動装置を操作したときに安定した姿勢で停止
できないおそれがあること及びカーブを通行したときに遠心力により事業用
自動車の傾きが大きくなるおそれがあることを交通事故の事例を挙げるなどして
理解、習得させる』

上記を踏まえ、伝えてほしいポイントは以下の通りです。

①積荷の積み方や固縛が十分でないために偏荷重が発生するが、横転や、荷崩れ、
 ブレーキが効きにくくなるなど偏荷重により生じる危険性を認識し、偏荷重を
 防ぐよう心がけるよう指導すること。
②急発進、急ブレーキ、急ハンドルなどの「」のつく運転をすることで、
 偏荷重になったり、荷崩れを起こすことになる。どのような運転が危険である
 かを伝えること。
③積荷の種類や重量、形状ごとに、偏荷重や荷崩れを起こさないための、正しい
 積み付け固縛の方法を伝えること。出来れば実車を用いて、実際に積み付け・
 固縛を体験させて指導すると効果的です。
④偏荷重による荷崩れ、横転事故などの映像を見せると危険性を認識できる。

⑸ 過積載の危険性

指針では次のように書かれています。
『過積載に起因する交通事故の事例を説明すること等により、過積載が事業用
自動車の制動距離、安定性等に与える影響を理解させるとともに、過積載による
運行を行った場合における貨物自動車運送事業者、事業用自動車の運転者及び
荷主に対する処分について理解させる。』

上記を踏まえ、伝えてほしいポイントは以下の通りです。

過積載の状態は、衝突時の衝撃力の増大、バランスを崩しやすくなるなどにより、
 重大事故を招きやすい状態となること。(過積載が原因による事故事例を動画
 などを使って説明すると理解がしやすいと思います)
②過積載がなぜ重大事故につながりやすいのか(過積載によって生じる車両の状態)
 を説明すること。例えば「制動距離が長くなる」、「衝突時の衝撃力が大きくなる」、
 「下り坂ではブレーキが利かなくなるフェード現象を引き起こしやすくなる」など
(以上は動画があればわかりやすいです)
③過積載により排ガスが増えることによる環境への悪影響、道路の路面に対する
 ダメージなど社会に与える影響も大きいこと。
④過積載により、運転者には罰則が科せられること。また、「過積載分の積荷を降ろす」
 「代車に変える」などを命じられ、会社としてもドライバーとしても負担が増える
 結果となること
⑤過積載を防止するための会社としての取組、措置などを伝え、自社では安心して
 仕事ができることを理解してもらう

⑹ 危険物を運搬する場合に留意すべき事項

指針では次のように書かれています。

『危険物(自動車事故報告規則(昭和26年運輸省令第104号)第2条第5号に規定する
ものをいう。 以下同じ。)を運搬する場合においては、危険物に該当する貨物の種類
及び運搬する危険物の性状を理解させるとともに、危険物を運搬する前に確認すべき
事項並びに危険物の取扱い方法、積載方法及び運搬方法について留意すべき事項を理解
させる。また、運搬中に危険物が飛散又は漏えいした場合に安全を確保するために
とるべき方法を指導し、習得させる。この場合において、タンクローリにより危険物を
運搬する場合にあっては、これを安全に運搬するために留意すべき事項を理解させる。』

上記を踏まえ、伝えてほしいポイントは以下の通りです。

①可燃物、ガス、火薬、毒物など扱う危険物種類危険性性状などについて
 理解させるとともに、性状に合わせ取扱い方法を習得させることと、万が一事故に
 なった場合の対処方法も理解させること
②危険物の輸送には、危険物取扱の資格が必要であり、資格保有者が安全運転を
 するのは当然であるが、法令遵守、危険物の性状についての理解をさせることと、
 資格に誇りをもって仕事に従事することを伝える
③危険物を輸送するときは、出庫前に十分な点検が必要であること、高圧ガスの
 積卸場所では、車から離れず積卸を監視、正しい位置に車を止めて、車輪止めを
 置くこと、静電気の防止(火花は厳禁)など、一層の安全対策、意識をもって
 仕事に臨むこと
④タンクローリで危険物を輸送している場合が多いが、重心が高いため、カーブ
 などで横転の危険性が高く、より慎重な運転が求められること(横転事故の動画
 などを使うと効果的です)

今回は以上、指導教育12項目のうちの(4)~(6)項目までのポイントについて
お伝えしました。

次回は(7)項目以降のポイントをお伝えいたします。

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