コラム

厚労省の労災防止の取組み

今回は、「厚労省の労災防止の取組み」について
ご紹介させて頂きます。

1.労働災害防止計画

先ごろ、厚労省より労働政策審議会に諮問された
第14次労働災害防止計画案が、妥当と認められ、
令和5年度からの5カ年計画として実施される
こととなりました。

計画の重点項目として、中高年女性を対象とした
作業行動に起因する労災防止対策、多様な働き方
への対応、外国人労働者等の労災防止対策など、
8項目が掲げられています。

2.貨物運送業での安全対策

運送業に目を向けますと、陸上貨物運送業における
労働災害は、その約7割荷役作業時に発生して
いるとのデータが報告されており、荷役作業時の
安全対策強化に関する方針が打ち出されました。

具体的には、労働安全衛生規則の一部改正により、
高さ(深さ)1.5mを超える箇所での作業には
昇降設備の設置が義務付けられ、荷役作業を行う
労働者の保護帽着用義務対象が、従来の最大積載量
5トン以上の貨物自動車から、2トン以上に拡大
されることになります。

本規則が施行されるのは、令和5年10月1日から
となっています。

また、荷役作業に使用されるテールゲートリフター
(トラック後部に装着する荷物積み降ろし用の昇降
装置)については、その構造及び特性に起因する
労働災害のリスクが懸念されるため、安全衛生法に
基づく「特別教育」が必要な業務として、新たに追加
されることになりました。

尚、この措置が施行されるのは、令和6年2月1日
からです。

3.建設業での安全対策

建設業においても、墜落・転落防止の対策が強化
されることになりました。

本施策も、労働安全衛生規則の一部を改正すること
により強化を図るもので、主に、狭あいな現場
使用される「一個足場」からの墜落・転落が頻発
していること踏まえ、一定条件の下、「本足場」の
設置を義務付けようというものです。

ここでいう一定条件とは、幅が1m以上ある場所と
規定されており、令和6年4月1日より施行される
ことになっています。

併せて、足場の点検に関しても、事業者、又は、
注文者による点検が確実に行われるよう、あらかじめ
点検者を指名することも義務付けられるように
なります。

こちらの方は、令和5年10月1日からの施行と
なっています。

4.労災防止に向けて

労働災害の発生件数は、事業者の方々をはじめとする
関係者の熱心な取り組みにより、年々減少傾向に
ありますが、今なお全国で50万人もの方が、
被災されています。

特に、従業員数50人未満の小規模事業場では、
大規模事業場に比べて労働災害の発生率が高く
なっており、災害防止対策を実施する上で、
人材・費用などが課題になっているようです。

一方で、全員が一体となって取り組むことが
可能と思われますので、今回の法改正を機に、
従業員の方々が、安全で健康的に働けるよう、
工夫をしながら、対策を講じて頂けることを
期待しております。

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