コラム
「iDeCo制度」について
昨年11月28日に政府で決定された資産所得倍増
プランに掲げられている「iDeCo制度」について
ご紹介させて頂きます。
1.資産所得倍増プラン
我が国が保有する個人金融資産2000兆円の内、
半分以上が現金・預金として蓄えられており、
各家計を、更に豊かにするには、家計における
預金を投資に向かわせ、その投資による企業価値
向上の恩恵を、家計にも及ぼす必要があるとの考え
から、2023年11月に、政府より資産所得倍増
プランが打ち出されました。
資産所得倍増プランは7つの柱から成り立っており、
具体的には次の通りとなっています。
①家計金融資産を貯蓄から投資にシフトさせる
NISAの抜本的拡充や恒久化
②加入可能年齢の引上げ等iDeCo制度の改革
③消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの
提供を促すための仕組みの創設
④雇用者に対する資産形成の強化
⑤安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための
金融経済教育の充実
⑥世界に開かれた国際金融センターの実現
➆顧客本位の業務運営の確保
2.iDeCo制度とは
資産所得倍増プランにおいて、2つ目の柱とされる
iDeCo制度とは、公的年金(国民年金・厚生年金)
とは別に給付を受けられる私的年金制度の一つです。
公的年金とは異なり、加入は任意で、加入の申込、
掛金の拠出、掛金の運用の全てをご自身で行い、
掛金とその運用益との合計額をもとに、給付を
受け取ることができる、というものです。
公的年金と組み合わせることで、より豊かな老後
生活が送れるようにと、国民年金基金連合会が
実施主体となって、運用が行われています。
尚、加入については、iDeCoを取り扱っている
運営管理機関(金融機関等)にて加入手続きを行う
必要がありますが、運営管理機関ごとに運用商品や
手数料が異なりますので、運営管理機関のコール
センターに直接お問い合わせ下さい。
運営管理機関は、下記「iDeCo公式サイト」の
通りで、以下のリンク先で運営管理機関を検索頂くと、
ウェブサイトや問合せ先の電話番号が確認できます。
https://www.ideco-koushiki.jp/operations/
また、具体的な加入手続きについても、下記の
「iDeCo公式サイト」をご参照ください。
https://www.ideco-koushiki.jp/start/
3.iDeCo制度の更なる改革
かつて、個人型確定拠出年金、日本版401kと
呼ばれたiDeCo制度ですが、今回の資産所得
倍増プランでは、
1)制度への加入可能年齢の引上げ
2)拠出限度額の引上げ及び受給開始可能年齢の
上限の引上げ
3)制度手続きの簡素化
といった改革案が謳われており、より幅広い
年齢層の方が簡単に加入でき、長きに亘って
運用が可能となるようです。
その一方で、現行制度では、加入者は国民年金
被保険者であることを前提とし、加入可能年齢が、
第1号、第3号被保険者は60歳未満、第2号、
任意加入被保険者では65歳未満と、被保険者
種別によって異なっているものの、更に、それを
一律に70歳まで引上げようというのですから、
国民年金被保険者であることで、簡素化されていた
手続きや事務処理が、かえって煩雑になるといった
リスクも発生しそうです。
急激な物価高、少子高齢化の加速や老後2000万円
問題など、老後の不安が一層深刻さを増す状況だけに、
社会保障制度に関する政府の今後の対応には、しっかり
目を向けていきたいと思います。