コラム

ドライバー教育がもたらす効果

今回は、ドライバー教育がもたらす効果についてお伝えいたします。

運送事業のお客様とお付き合いさせていただいて感じるのは、
運送事業者様の多くが、自社で教育することが、あまり得意でなく、
教育の実施記録を作成はしているものの、実際には法律上決められた
ドライバー教育を開催していない又は、後回しになっているケースが
多いことです。
ドライバー教育をすることは、面倒なことですし、時間もかかります。
運転者が一堂に集まる時間もなかなか作れないし、コストもかかる。
そんな時間があれば、少しでも仕事をして稼いできてほしい。
あるいは休ませてあげたい。そうお思いになるのもわかります。

教育なんかしなくても仕事はまわるし、事故防止の意識はプロドライバー
としては当り前のことで、本人の自覚の問題だとおっしゃる方も
いらっしゃいます。しかし、一つ言えることがあります。
それは、継続的に教育をしている会社は、品質が高く業績がいい
良い運賃を収受している)傾向があるということです。
では、教育をしている会社はなぜ品質が高く、業績が良いのでしょうか?
その理由をこれからお伝えいたします。世の中には色々な荷主様が
いらっしゃると思いますが、高い品質求める荷主企業が一定数存在
しています。運送会社で言うところの品質とは、一つ事故をしない
という安心の品質です。
品質を求める荷主企業は、自社の大切な荷物を安全に、遅れることなく、
確実に輸送してほしいと考えています。

また、コンプライアンスに問題があると叩かれる今の時代、大手企業に
なるほど、自社の名前に傷がつくことを恐れるという傾向がありますから、
「あの企業はコストを安く抑えるために、安全管理のできていない
運送会社に輸送させ、事故を起こし、多くの被害者を出す結果を招いた」
などと、世間や業界内外で言われたくないというのもあるでしょう。

運送会社で言うところの品質の二つ目は、人の品質です。
業績の良い運送会社には、共通点があります。ドライバーの皆さまが、
大きな声で挨拶ができているということです。
私は、以前、業績の良いと言われている運送会社を片っ端から訪問した
ことがありました。業績をコンプライアンス遵守の両立をしている
運送会社を自分の目で確かめたかったからです。
業績が良いと言われている運送会社のドライバーは漏れなく、挨拶が
きちんと
できていました。

私はその時、初めてその会社を訪問するわけですから、その会社の
ドライバーの皆さまにとって、私は初めて見る顔です。
そういった場面で、一般的な運送会社のドライバーで最も多い反応は、
自ら挨拶することなく、この人誰やろ?という顔で、ジロジロ見る
といった反応です。別に悪気はなく、それが普通の反応なのかも
しれません。
しかし、私が訪問した業績の良い運送会社のドライバーは、挨拶が
漏れなくできているのです。
実は、運送会社でドライバーが漏れなく、「挨拶ができる」、「時間
守れる」、「きちんと片付けができる」この三つができると相当優秀な
運送会社と言えます。

一般社会であれば、社員が「挨拶ができる」、「時間が守れる」、
「きちんと片付けができる」というのは当り前のことです。
運送業界では、一般社会では当り前のことが、出来ないのです。
だからこれができたら、とても優秀な運送会社なのです。
ドライバーには、そういうことをするのが嫌だから、ドライバーを
しているんだという方も多いかもしれません。
しかし、時代が求めるニーズは変わりました。

相手も人間です。できる仕事が同じレベルであれば、ドライバーが
気持ちの良い対応ができる運送会社を選ぶでしょう。
選ばれる会社になるために、一般社会で当り前にできることを
しっかり教育していく。それだけのことなのです。

もちろん社員にこれらのことをできるように教育するわけですから、
まずは、社長から見本を見せる必要はあります。
上の人がしないのに下の人がするわけがありません。
まず、社長、幹部が見本を見せる。そして、それを続けることです。
結果はすぐに出ません何年もかかります。周りにそんなことしている
会社はない。そうおっしゃる社長様も多いです。

私に言わせていただくとすれば、だから、やるんじゃないですか!
ということです。周りがやらないから、やるんです。
周りがやりだしたら、もう差別化はできません。周りがやらない時
やるチャンスなのです。周りがやらない時にやらないなんてもったい
ない話です。
また、すぐに結果がでないからいいのです。運送会社の社長様で
多いのは、すぐに結果を欲しがる方です。すぐに結果が出ないことは
やらないという方が多いです。

だから、なかなか結果が出ない「教育」というものを継続して実践
するという運送会社は少ないし、その少数の運送会社が結果を作り、
業績を上げていくのだと思います。
結果はすぐ出ませんが、今からやらないといつまで経っても結果は
出ません。
事故防止教育の話に戻りますが、折角ですから、義務とされている
事故防止教育をきちんとやっていきませんか?
これは義務ですからやらないといけないのです。これをやることの
効果は、お話した通りです。どうせやるなら、嫌々やるより、プラスの
効果を出さないと損です。継続するほどに品質は上がるでしょう。

教育によって人の品質が上がる理由は、色々ありますが、一つには、
教育を受けた一人ひとりが、事故防止を意識し、事故が減り
輸送品質が上がるということです。

二つには、教育をする(教育だけではなく、キチンと点呼するなど
コンプライアンスを遵守する)ということは人をふるいにかける
ということでもあるということです。
仕事から帰ってきて、教育を受ける、もしくは休みの日に出てきて
教育を受けるというのは、ドライバーにとっては負担です。
ですから、教育を受けるのが嫌だというドライバーもいます。
そういうドライバーは残念ながら会社を辞めていきます。
つまり、会社の指示になかなか従わない不満の多い、一般的に
質の悪いドライバーは辞めていくのです。
その結果、教育を受けることに抵抗なく、会社の指示を守れる
質の良いドライバー残ります。質の良いドライバーは、
質の良いドライバーを呼んできます。
徐々に質の良いドライバーが増え、高品質の運送会社となって
いくのです。

企業は人なりという言葉があります。どんな立派な社屋の会社でも、
人の品質が低いと、顧客にそっぽを向かれます。
小さな規模の会社でも、社員一人ひとりの教育が行き届いていれば、
品質は高くなり、顧客の多くに支持されていくことになります。

お客様も人間です。ドライバーを人として気に入っていただけるか
どうかで、その後いただける仕事内容は変わるのではないでしょうか。
日々品質を高める努力をして、最終的に高品質のサービスを求める
荷主と取引することです。そういう荷主は、いい運賃を出してくれます。
そして、品質などどうでも良い、安ければいいという荷主とは決別
することです。

教育の効果絶大です。早速、今日から事故防止教育始めましょう!

一覧に戻る