コラム
巡回指導対策 重要ポイント「事業計画の違反」
令和2年7月15日に近畿運輸局から公表された令和元年度自動車運送事業者に対する監査と処分結果によると、
行政処分にかかる主な違反内容として過労防止、教育に次いで多いのが事業計画の違反です。
巡回指導では、主たる事務所、営業所、休憩・睡眠施設、配置する車両の種別・数に変更はないかの確認をすることになっていますが、変更しているのに、届出や認可申請をしていなかった場合は不適となります。
例えば認可を受けている車庫の賃貸借期間が終了したので、他の車庫を借りたり、車庫を増設しているのに運輸局に認可の手続きをしていないケースなどです。
巡回指導では、車庫の現状を確認することがよくありますが、
「実はその車庫はもう返してしまってありません。」
という話になったり、
「他に車庫はありませんか」と聞かれて、つい、「実はもう1か所借りている車庫があります」という話になってしまい、事業計画不適の評価となることもよくあります。
また、ドライバー不足を反映して、ドライバーの自宅の近くに車庫を借りる場合などがありますが、直行直帰するので点呼が行えないと考え、認可申請していないケースもあります。
しかし、現在は、営業所と車庫間のIT点呼も可能ですので、離れていても点呼はできるのです。
営業所と車庫間のIT点呼とは、車庫にいるドライバーと営業所にいる点呼者がIT機器を使用して行う点呼です。
IT点呼はGマークの認定がないとできないと思っている社長様が結構いらっしゃるのですが、Gマークの認定が必要なIT点呼は、2つ以上の営業所間でIT点呼を行う場合です。
営業所と車庫間のIT点呼は、Gマークの認定は必要ありません。
もちろん営業所と車庫間の距離であるとか、前面道路の必要な幅員、車庫の広さなど認可の要件を満たす必要はありますし、営業所が開設されてから3年が経過している、過去3年間重大事故を引き起こしていない、過去3年間点呼違反となる行政処分を受けていないなどのIT点呼導入要件も満たす必要があります。
「車両の種別・数に変更はないか」については、適正化指導員が、訪問の際に、事業用車両は何台あるか尋ねることがよくあります。
持ってきた運輸局の台帳上の車両数データとこちらの答えが食い違うと、不適と判断されます。
なぜ、このようなことが起きるかと申しますと、以前に増車申請をしたものの、結局、自動車登録しなかった場合や、減車申請したものの、配車の状況が変わり、移転登録や抹消登録せずに、その車両をそのまま使用し続けるといった場合ですが、増減車申請を行った時点で、運輸局の台帳は書き換えられますから、現実に登録手続きしないと
数字が合わないという事態となります。
また、増減車の手続をディーラーの営業マンにお願いして、営業マンが、控えをくれない場合、会社としては届出上の台数を把握できず、食い違いに気が付かないといったケースも見受けられます。
営業マンに手続していただいた場合は、必ず増減車申請の控えをもらうようにすることが肝心です。
巡回指導員は会社が車両数や、事業計画などを管理し、把握できているかを見ているのです。
以上が事業計画に関するポイントです。
なお、事業計画に関する違反に対する行政処分は次の通りです。
営業所の位置
10日車 再違反は20日車
各営業所に配置する事業用自動車の種別違反
10日車 再違反は20日車
各営業所に配置する事業用自動車の種別ごとの位置違反
10日車 再違反は20日車
自動車車庫の位置及び収容能力違反
① 営業所との距離 20日車 再違反は40日車
② 収容能力不足 20日車 再違反は40日車
③ 自動車車庫の位置 10日車 再違反は20日車
乗務員の休憩・睡眠施設の位置及び収容能力違反
① 営業所・車庫との距離 10日車 再違反は20日車
② 収容能力不足 10日車 再違反は20日車