コラム

労働関係法令の見直し

今回は、「労働関係法令の見直し」について
ご紹介させて頂きます。

1.個人事業主等の健康管理


厚生労働省では、昨年末より、個人事業主等
健康管理に関するガイドライン策定に向け、
労働政策審議会での審議を開始しました。

ガイドラインでは、個人事業主等の健康管理と共に、
仕事を注文する者等配慮すべき事項などを整理し、
年内の策定を目指すとしております。

個人事業主等の皆さんにとって、先ずは自己管理が
基本となりますが、同省の調べによりますと、
個人事業主等4割以上健康診断受けていない
とのことです。

注文者等の注文条件や作業環境が、個人事業主等の
心身の健康に及ぼす影響の大きさを考えると、
やはり、注文者等に求める措置が、ガイドラインの
骨子となりそうです。

2.フリーランスの労災特別加入


企業等から委託を受けて業務を行うフリーランス
特定受託事業者)を労災保険特別加入対象
拡大する省令案が、同時期に、厚生労働省より
答申されました。

令和6年秋までに施行が予定されている
フリーランス法と併せて施行されることになります。
これまで、労災保険の特別加入は、対象となる
業務や事業の範囲が、明確に限定されていましたが、
多様な業務・事業に従事するフリーランスについても
幅広く加入を認めていこうというのです。

既存の特別加入が可能な、IT関連のフリーランスや
柔道整復師などの事業や業務は対象外となりますが、
新たに適用される保険料率0.3%となる見通しです。

3.労災保険料率の改定


令和6年度からの労災保険料率について、厚生労働省は
6年ぶり改定する方針を労働政策審議会に説明しました。

全54業種のうち、料率を引き上げるのは3業種
引き下げるのは17業種据え置き34業種となり
改定後の全業種の平均保険料率0.44%で、
現行(0.45%)を下回り、116億円保険料
負担減が見込まれています。

労災保険料率は、原則3年ごと見直すとされ、
過去3年間の労災給付等の状況を踏まえ、業種ごとに
改定されてきましたが、前回の令和2年は新型コロナの
影響
で適正な見直しが困難との判断から、見送られた
経緯があります。

このほか、特別加入保険料率建設事業の賃金総額の
算定に用いられる労務費率も見直されることに
なっています。

4.勤務時間外の連絡


ここまでの政府発表とは話しが異なりますが、
時を同じくして、日本労働組合総連合会
つながらない権利」に関する2023年の
調査結果を公表しました。
それによると、雇用者7割以上(72.4%)が
「勤務時間外に、部下、同僚、上司から業務上
連絡がある。」と回答していることが分かりました。

「勤務時間外に取引先から業務上の連絡がくる
ことがある。」と回答した者も4割44.2%)に
及ぶということです。

本調査は2023年9月に18歳から59歳の
雇用者等1,000人を対象に実施され、
有効回答者数942人回答をもとに取り纏められ
ましたが、勤務時間外の業務上の連絡に関して
ストレス感じる。」とした者は6割を超える
結果となりました。

ちなみに、部下、同僚、上司からの連絡では
62.2%、取引先からの連絡には60.9%の方が
ストレスを感じているようです。

こういった、法改正だけでは解決できない
雇用者が抱える悩みに対し、事業主の方々にも
一緒になって取り組んで頂ければと存じます。

一覧に戻る