コラム

労働時間管理の重要性③

前回までで、2024年問題対策として、まず、やらなければならない
重要なことは、時間管理であるということをお伝えしてきました。
また、時間管理の数々のメリットもお伝えいたしました。

時間管理ができれば、現状が見えてきます。時間管理ができたら、
次に行う対策は、各ドライバーの時間の使い方に無駄はないかどうかを
検証することです。

例えば、下道(したみち)から、高速道に変更する。
利益につながらない無駄な作業をやめる
料金のいただけない荷待ちを伴う仕事をやめる
教育をすることにより、ドライバーによって、スキルがマチマチである
作業の効率化品質の均一化を図る。

配車自社コントロールすることにより、効率化を図る・・・など、
まずは、自社で打てる手をどんどん打っていくことになります。

前回もお伝えしましたが、時間管理をすると、各ドライバーの
働きぶりが見えてきますから、仕事のできるAさんと、
要領が悪いBさんの違い浮き彫りになります。

AさんとBさんの違いは何か?そこを追求していくと、Bさんに
何が足りないかがわかります。その部分(Bさんにとっての
のびしろ」)を教育で、埋めていくのです。
人財教育は、会社の発展に欠かせません。
教育により、ドライバー全員が、Aさんのレベルにスキルアップすれば、
会社全体の運送品質上がることになります。
今回の問題の対策をきっかけとして、時間短縮のための効率化はもとより、
運送品質を上げることで、他社との差別化を図ることもできるのです。

さて、自社で打てる手すべて、打ってもなお、労働時間を十分に
短縮できなければ、次に行う対策は、荷主への運賃値上げ交渉になります。
ここで、注意しなければならない重要なことは、運賃交渉を行うための
客観的資料を準備することです。

一つは運行データです。
これはしっかり時間管理をすれば、示すことができます。
自社で努力したが、その努力も限界にきており、後は、運行行程を
見直すしかないことを客観的なデータを元に荷主に説明するのです。

二つ目は、運送原価データです。
現在の運送品質を維持するために、最低コストがどれだけ必要なのか、
車両別の原価計算を行い、データを作成して、しっかり説明するのです。
燃料費や人件費(最低賃金)は年々値上げの一途をたどっていますので、
そもそも運賃の値上げが必要であることも含めて、説得力のある説明を
行う必要があります。

そして、三つ目は、口約束ではなく、運送委託契約書を作成して、
契約を交わすことができるように準備しておくことです。

別途の作業や荷待ちがあれば、料金が発生することも、書面で残して
おくことが大切です。

以上のような説得力のある資料を揃えないと、荷主としても
一体いくら値上げすれば良いのか判断ができません。
運賃交渉が上手な会社というのは、このような資料がいつでも作成できる
会社であり、常日頃から時間管理を含めて、車両損益などの、計数管理
行っている会社なのです。

次にこのような資料を提示した上で、交渉した際に、荷主がどのような
反応をするかです。
前向きに考えてくれるのか、もしくは、もっと運賃が安い会社があると
言われてしまうのか。当然前者の反応を引き出す必要があります。
荷主も物価高騰のあおりを受けています。
そう簡単には交渉に応じてくれないかもしれません。

では、どうすれば値上げに応じてくれるのか、そのポイントについては
次回お伝えいたします。

一覧に戻る