コラム

『こども未来戦略』の具体化

「『こども未来戦略』の具体化」についてご紹介
させて頂きます

1.令和6年度の予算案


政府は、本年1月26日、令和6年度予算案
国会に提出しました。

そんな中、厚生労働省の予算案には、「こども
未来戦略」として掲げられた共働き共育て
実現に向け、多くの施策事業が、盛り込まれて
います。

とりわけ、雇用保険における育児休業給付
財政基盤強化は、男性の育児休業の取得促進
欠かせぬものとして、注目されているようです。

2.給付の拡充


雇用保険の育児休業給付は、育児休業等
取得者の増加などを背景に、支給額が年々
増加傾向にあり、令和5年度は、前年度より
663億円増の7,780億円となりました。

育児休業給付に係る雇用保険料0.4%)と
国庫負担などの収入の合計は7,996億円で、
収支はプラスとなっています。

こうした収支状況が続いたことで、本来
国庫負担は給付総額の8分の1とされていますが、
暫定措置として、その10分の1に当たる
80分の1のみを負担するにとどまってきました。

ところが、令和6年度以降は、「こども未来戦略」で
打ち出された各施策(加速化プラン)の実施に伴い、
男性の育児休業等の取得者がさらに増加する見通しと
なっており、財政基盤の強化急務となっています。

3.財政基盤の強化


財政基盤の強化に向け、先ず、令和6年度以降、
国庫負担における暫定措置(80分の1の負担)が
廃止され、本則どおりの8分の1に負担割合が
引き上げられることになりました。

その結果、令和6年度国庫負担額1,069億円
となる見込みで前年度の95億円を大幅に上回る
ことになります。

加えて、育児休業給付に係る保険料率も、
令和7年度から0.5%に引き上げられることに
なりました。

その一方で、実際の料率は保険財政の状況に応じて
弾力的調整する仕組みを導入し、当面の料率は、
従来の0.4%維持するというのです。

同省の試算によれば、男性の育児休業等の取得率が、
仮に「こども未来戦略」に掲げられた2025年までに
50%以上2030年までに80%以上といった
数値目標を達成したとしても、令和9年度までは
0.4%の保険料率は維持できるとのことです。

4.新たな給付

「こども未来戦略」では、新たな給付も予定されており、
その一つが『出生後休業支援給付』です。

子の出生直後の一定期間以内に、被保険者その配偶者
双方が14日以上育児休業を取得する場合に、
最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額を給付し、
既存の育児休業給付と合わせることで給付率80%
引き上げようというのです。

他にも、被保険者が、2歳未満の子養育するために
時短勤務を行った場合、期間中に支払われた賃金額の
10%支給(ただし、時短時の賃金と給付額の合計が、
時短前の賃金を超えないよう支給率が調整)される
育児時短就業給付』などがあります。

これらの給付は、「子ども・子育て支援納付金」の
充当を財源として運用されますが、運用の実効性が
期待される一方、新たな財源の確保が、どの程度の
負担増となって我々の保険料に跳ね返ってくるのかも
気になるところです。

一覧に戻る