コラム

運送事業における他社との差別化

前回は、運賃交渉ポイントである
他社との差別化についてお伝えいたしました。

差別化ができているということは他社にはない
「強み」があるということです。

長年続いている会社であれば、必ず強みがあると
言われています。

もし強みが無いというのであれば、創る必要
あります。

どんな会社でも創れる強み・・
それが、「人」に関する強みです。

今回はどのようにして、この「人」の強みを
創っていくかについてお伝えいたします。

「企業は人なり」という言葉をよく耳にします。

働く人の品質が高い会社は、業績が良い
ということです。

今、業績を伸ばし、成長している運送会社に
取材したところ、その会社の強みは正に「人」
でした。

自社には荷主が求めている人財がいるのだ
とのことでした。

社長は言います。

「荷主が求めていることは、それほど難しい
ことではない。

元気に大きな声で挨拶ができて、時間に遅れずに、
言われたことを100%きちんとできる。・・・
それだけなんです。

でも、それをドライバー全員ができていないのが、
運送業界なんです」と。

当り前のことを当たり前にできること。

これを社員全員出来れば相当優秀な運送会社
だということです。

つまり、「人」教育し、荷主に求められる人財
育てることで、相当の差別化ができることに
なります。

その社長は続けて言います。

「2024年問題で、値上げ交渉するという話が
よく聞かれるが、そもそも2024年問題で、
物価などが高騰していて苦しいから、運賃を
値上げ
してくれとお願いするのはお門違いだ。

値上げしてほしいなら、自社が困っているから
ではなく、荷主に対して、サービスの品質
向上させるから値上げしてくださいと
交渉するべきだ。

業界の皆さんは、そういう努力もせずに、
値上げ交渉をしているのではないでしょうか」と。

この会社のほとんどの荷主が値上げ交渉に応じて
くれたそうです。

強みを分析し、強化することと並行してしなければ
ならないことがあります。

それは、現状分析です。

今、利益が出ていないのであれば、原因は何なのか?
往々にして、売上の大きい荷主を大事にする
運送会社が多いですが、大切なのは売り上げの大小
ではなく、利益率の高い荷主がどの荷主なのかです。

車両ごと原価計算をしてみると、どの荷主の
利益率が高いのかが見えてきます。

売り上げが小さくても利益率の高い荷主を大事にして、
その荷主の仕事を増やしていけば業績は上がります。

その利益率の高い荷主は自社の何を気に入って
発注してくれているのでしょうか?

そこを追求していけば、自ずと自社の何を強化すれば
いいかが見えてきます。

その部分を教育することで、強化していくのです。

その荷主の求めているものが、わからなければ、
荷主に直接確認してみるのも一つの方法です。

このように自社を分析し、荷主から情報収集する
ことで、やるべきことが明確になります。

人材育成するためのポイントがあります。

それは、ドライバー自身が、「自分は何のために
仕事をしているのか」を正しく理解することです。

多くの人は、生活のために仕事をすると言います。

間違いではありません。

しかし、生活のために、毎日毎日つらい仕事を
していて、そこに喜びあるでしょうか

もちろん給料が多いに越したことはありません。

しかし給料というのは、不満の解消にはなった
としても、満足にはなりません

どれだけ高い給料を貰っていても、最初は嬉しい
ものですが、しばらくするとそれが当たり前
なってしまい、「もっと欲しい」となります。

では、仕事をする上での満足とは何でしょうか?

それは、「お客様に喜んでいただく」ということです。

あなたのお陰で、こんなに助かった。ありがとう」
とお客様から言っていただけたなら、仕事をしていて
これほど嬉しいことはありません。

毎日のように多くのお客様から、このように感謝
されたら
、仕事はやりがいにあふれ、毎日が楽しく
なります。

こんな社員さんが増えたらいかがでしょうか?

きっと業績が上がり続けると思いませんか?

私たちは、お客様に喜んでいただくために仕事を
しているのです。

お客様に喜んでいただけたら、給料後からつ
いてくる
のだということを正しく理解することが
とても大切なのです。

そのことを正しく理解させるために必要なものが
あります。

それが経営理念です。

経営理念とは、自社が「何のために存在している
のか」という問いの答えです。

言い換えると、自社は、どのようにして社会のお役に
立ちますか?ということです。

社会のお役にたつとは、人のお役に立つことであり、
お客様のお役に立つことなのです。

自分たちはこのために仕事をしているのだという
考えを社員さんに理解させ、共有することが大切
なのです。

きちんと理解できれば、お客様に迷惑をかける
ような行動は無くなります。

もっとお客様のお役に立とうとします。

社員教育の前提として、「何のために仕事をするのか
しっかり理解させることが、とても大切なのです。

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