コラム

運送業界の人手不足への対応③

今回は前回の「求人に困っていない会社の
実例」の続きです。

この会社のドライバーの7割が20代で、
平均年齢は29歳です。

若い求職者を集めるために、TikTokなどの
コンテンツを中心に、SNSを最大限活用して
います。

しかし、SNSの動画そのままの良い会社で
なければ、折角採用に成功した人財も辞めて
しまいます。

だから、まずは、採用した社員が辞めない
良い会社にすることが最も大切なのです。

この会社の離職率は非常に低いのですが、
そのポイントの一つ目が、「教育」である
ことは前回お伝えしました。

何のために仕事をするのか?
何のためにこの会社が存在するのか(存在理由)?
仕事とは何か?・・仕事の本質は、給料を貰う
ことではありません。

お客様のお困りごとを解決し、お役にたてる
ためにあるのです。
お客様に喜んでいただければ給料は後から
いくらでもついてきます

では、お客様に喜んでいただくためには
どうすればよいのでしょう?

同社では、元気な挨拶を徹底する、お客様の
悩みごとをよく聞くなど、仕事上意識すべき
大切なことを、毎月実施する勉強会や毎朝の
LINEで、根気強く従業員に伝えています。

いわゆる理念教育を徹底しているのです。

20代の素直な未経験者は、教育するほどに、
スポンジのように教えを吸収していきます。

ドライバーとしてだけでなく、頼りになり、
信頼される人になるよう社員を教育している
ということです。

企業は人なり」と言いますが、そこに働く
社員のクオリティの高さが、会社の業績
そのまま反映されるのです。

それゆえ、良い会社にするには、教育こそが
もっとも重要なポイントと言えそうです。

二つ目のポイントは、コミュニケーション
重要視している点です。

60代の社長と20代の若い社員たちでは、
ずい分年齢が離れていますが、
“仕事は楽しくやるのが一番”と、社長は努めて、
若い社員とコミュニケーションをとるように
しています。

また、社員同士でキャンプをしたり、山登り
したり、年2回は飲み会もする。
バーベキューや、社員旅行もしています。

社内で社長が一番話しやすいと言ってくれる
新人もいるそうです。

個人面談を年に1回は行います。一人ひとりを
よく見て、雰囲気がおかしいと感じたら、
すぐに話を聞き、手を打ちます。

日頃のコミュニケーションでは聞けない
社員の本音を、面談で引き出すのです。

コミュニケーションを重要視していますから、
人付き合いが苦手だという人は採用しません。

三つ目に中型以上の運転免許のない
未経験者でも仕事が与えられるように、
車種を軽貨物から、大型車まで
そろえています。

準中型免許は、会社負担で免許を取らせ
それ以上は奨学金制度貸付制度)を適用
しています。

これは、本人にも負担させることで、
責任感を持ってもらうためです。

四つ目給与水準が高いことです。
理念教育価値観の共有)を徹底する
ことで、ドライバーのレベルが向上します。
すると客層も変わってきます。

高い品質を求めるお客様は、求めるレベルが
高い分、良い運賃を払ってくれます。

良い運賃をいただければ、高い給料が
払えます。

この会社の場合、以前は、歩合制でしたが、
今は、固定給にしています。
勿論、残業代は、キチンと計算して払います。

それでも、歩合給の時と、給与水準は
変わらない。

社長は言います。

近い将来給料の6か月分の年間賞与を
払いたい。

運賃をもっと上げて、給与水準をさらに
上げていきたい。

ドライバーに対してネガティブな
イメージだと、人は集まらない。

ドライバーの地位を向上させたいし、
業界の給与水準を上げていきたい。

ドライバーがプライドを持って働ける
業界にしたいと。

五つ目のポイントは、社員に対する
人事評価制度を導入している点です。

歩合給の弊害は、自分のことしか考えなく
なることです。
3万円の仕事はするが、5000円の仕事は
しない。

自分の都合で仕事を選るようになる。
他のドライバーが困っていても助けようと
しないなど。

みんなで、一丸となってお客様の喜びを
創っていこうとしているのに、お互いが
協力し合う良いチームにならないのです。

では、固定給でどのようにして各自の
モチベーションを上げているのか。

そのポイントが人事評価制度になります。
この会社では、約50項目を5段階で評価
しています。

そして、上司が一方的に評価するだけでなく、
本人も、社長も、上司も、先輩も、同期の
社員も、後輩も
その人を評価する制度です。
360度評価と名付けておられました。

上司の一方的な評価だと不満が出ますが、
周り全ての人からの評価だと、本人は
聞き入れるしかありません

この評価で出た結果は、社長自身が評価した
内容とほとんど変わらないそうです。

3位と思っていた人が8位になることはない。
3位と4位が入れ替わることはあるそうですが。

評価後の面談で、給料を上げたいのであれば、
評価2のこの項目を、もっと改善するよう
努力すればいい
と伝えるだけです。

本人は360度の客観的な評価に納得し、
評価を上げるために努力するようになるのです。

その他にも、色々なことを実践しており、
25年前から、WEBサイトを運営してきた。
写真を掲載し、SEO対策も実施した。

ハローワークの求人掲載欄もしっかり埋まるほど
書き込んだ。・・・出来ることは全部やった。

求人がうまくいっていない会社は、そこまで
やってないのではないですか?

まずはやってみること。知っているのとやっている
のとでは天と地の差ほど違うと社長は言います。
良いと思われたことを一つでもやってみませんか?

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