コラム

運送業の「自動点呼」について

今回は「自動点呼」についてお伝えいたします。

令和5年1月より乗務後自動点呼運用が開始
されています。

自動点呼とは、自動点呼機器(ロボット等)に
点呼時の確認指示項目代替させて点呼を
実施するというものです。

遠隔点呼やIT点呼では、機器・システムの
カメラ・モニター等を通じて点呼執行者
運転者に点呼を実施するのですが、自動点呼は、
運転者が「人」ではなく点呼機器に向けて、
点呼を実施しますから、点呼執行者は不要
なります。

これにより、①人的ミスの減少による点呼の
確実性の向上、②運転者・運行管理者の長時間
労働の是正
、③新型コロナウィルス等感染症の
予防
といった効果が得られます。

とりわけ、深夜早朝の点呼執行者の人的配置に
課題があった運送業界にとっては、②の効果が
大きいと思われます。

また、乗務後自動点呼は、対面点呼と同等
扱いとなりますから、長距離輸送などの場合に
必要な運行指示書や、中間点呼は不要となります。

しかも、自動点呼制度運用当初、自動点呼を
行う場所は、運転者等の属する営業所又は車庫に
限られていましたが、令和6年3月に緩和され、
当該業務に係る運転者の事業用自動車内待合所
宿泊施設その他これらに類する施設(運転者の
自宅を含む)でも乗務後自動点呼実施が可能
なり、運用の幅が広がりました。

例えば、長距離輸送の場合、トラック車内
運転者が、持込可能な自動点呼機器を使用して、
業務後自動点呼を行うことができるのです。

また、当初は、なりすましを防止するため、
自動点呼機器を設置する施設・環境要件として、
監視カメラの天井への設置などが必要でしたが、
これについても、緩和され、監視カメラを設置
せずとも、自動点呼を受ける際の運転者や周囲の
様子が確認できれば、クラウド型ドライブ
レコーダーやスマートフォンのカメラ
を使用
することが可能になりました。

但し、自動だから、こちらは何もする必要が
無いということではなく、適正に運用するには
注意すべきことがあります。

それは、
①自動点呼機器の使用方法や故障時の対応等
について運転者、運行管理者、その他の
関係者に対して適切に教育・指導を行うこと、

②各運転者の乗務後点呼の実施予定、実施結果を
適宜確認するなど、点呼の未実施防止対策
行うこと、

③点呼の予定時刻から、一定の時間が経過しても
点呼が完了しない時は、運行管理者が運行状況を
確認
できる体制をとること、

酒気帯びが検知された時、運行管理者が対面で
確認
する体制をとること、

自動点呼機器の故障などにより、乗務後自動
点呼の実施が困難になった場合に、運行管理者等
による対面点呼、または、実施が認められている
点呼ができる体制をとること、などです。

なお、国土交通省の認定を受けた自動点呼機器
でのみ、乗務後自動点呼を行うことができます。

(認定機器の内容は次の通りです↓)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000082.html

また、トラック車内で自動点呼を行うには、
車内に持ち込める自動点呼機器必要ですが、
現在認定を受けている自動点呼機器は、車庫や
営業所内に据え置くタイプの自動点呼機器のみ
ですので、実質上、トラック車内で自動点呼を
行うことはできないようです。

しかし、いずれ技術の進歩により、車内持込
可の携帯タイプの自動点呼機器が開発されると
思います。

そうなれば、長距離輸送でも、遠隔地で自動
点呼ができますから、運送事業者の負担は
大きく軽減されるはずです。

現在開発中のメーカーもありますので、
もう少し待ってみても良いかもしれません。

これまでは乗務後自動点呼のみ運用可能
でしたが、いよいよ令和7年4月より、
乗務前自動点呼の運用が開始される見込みです。

運送会社の更なる負担軽減が期待されます。

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