コラム

労働関係の新制度

今回は、「労働関係の新制度」についてご紹介いたします。

1.育児時短休業給付

厚生労働省によりますと、令和7年4月より
創設された雇用保険の「育児時短就業給付金」
に関しては、転職者についても、入社当初
から受給できる制度であるとのことです。

そもそも育児時短就業給付金は、2歳未満の
子を養育するために、1週間あたりの所定
労働時間を短縮して就業した被保険者を対象に、
時短就業中の各月に支払われた賃金の10%を
支給する制度ですが、育児休業給付の対象と
なる育児休業から引き続き、同一の子について
育児時短就業を開始したこと、或いは、育児
時短就業開始日前2年間に、賃金支払基礎
日数が11日以上ある完全月が12カ月以上
あること、などの条件が必要となってきます。

つまり、育児休業明けに従前の職場復帰が
叶わず、時短勤務が可能な別の職場に転職
したとしても、産前産後休業前に12カ月間
以上の勤務実態(被保険者期間)がありさえ
すれば、新しい職場でも直ぐに、賃金の
10%が受給できるというのです。

採用した従業員に、育児時短就業給付金を
受給する可能性がある場合には、資格取得
届の申請後に、事業主への通知用として、
ハローワークから交付される雇用保険被
保険者資格取得等確認通知書に「育児休業
給付等受給可」との表示がなされますので、
ご確認の上、改めてご申請頂ければと考え
ます。

2.雇用保険料率

周知のとおり、令和7年度は雇用保険料率が
変更されています。具体的には、一般の事業が、
前年より1000分の1引き下げた、1000
分の14.5(1.45%)に、農林水産業
・清酒製造業も1000分の1引き下げて、
1000分の16.5(1.65%)、同様に、
建設業は1000分の17.5(1.75%)
となっています。

それは、失業等給付に係る料率(失業等給付費
等充当徴収保険率)が前年の1000分の8
から、1000分の7(0.7%)に引き下げ
られたことに起因しますが、景気回復に伴い、
雇用が上向いたことで、失業等給付を受給
される方が減少したということに他なりません。

結果として、事業者や労働者の方の負担軽減に
繋がるわけですから、安定した雇用環境の継続
が期待されます。

3.テレワーク

今年1月末に、日本生産性本部が公表した
「働く人の意識調査」によれば、テレワーク
の実施率が14.6%と過去最低を更新した
そうです。

令和2年の調査開始以降、実施率は概ね減少
傾向にあり、その結果を年代別にみると、
20歳代のみが16.5%と昨年7月の前回
調査(14.3%)から微増となりましたが、
30歳代は前回の23.3%が17.3%に、
40歳代以上では、14.8%が13.4%へと
減少することとなっています。

テレワークの大多数を占める自宅勤務は、
実施したくないと回答した人が6割以上
(63.1%)を占め、実施を希望する人の
36.9%を大きく上回っています。

本調査は、令和7年1月に実施され、
1,100名からの回答をもとに集計された
ものですが、コロナ禍に注目されたテレワーク
も、人身の交流が活発化するようになり、
一応の役目を終えつつあるのかもしれません。

4.給与所得の上昇

日本政策金融公庫は、取引企業13,823
社を対象に「働く人の意識調査」を実施し、
4,976社から得た回答を基に、集計した
結果を公表しました。

それによりますと、令和6年12月時点の
正社員の給与水準が、昨年から上昇している
と回答した企業の割合が、7割超(75.2%)
となっており、1年前の同時期の調査結果
(68.0%)から7.2ポイントの上昇となり
ました。
上昇の要因としては、最低賃金の動向が
24.9%と割合が最も高く、次いで物価の
上昇(24.8%)となっています。

外的要因が、企業経営を圧迫するようなコスト
(人件費)高騰に繋がっているとの見方が
できる一方で、自社の業績改善といった回答が
17.3%もあるなど、景気回復を伺わせる
公表結果でもありました。

少子高齢化の進行が、社会保障制度を逼迫
させることは明白であり、我々の日常生活の
脅威になることは否めませんが、景気回復が
進むことで、国民一人一人の負担が、たとえ
僅かでも軽減されればと願うばかりです。

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