コラム
企業の経営理念
今回は「求人に成功した会社」の実例に
ついて、前回の成功事例の会社のお話しの
続きをお伝えいたします。
「この会社は経営理念を作成してから
変わった」と社長は言います。
経営理念を作成するきっかけは、顧問
税理士を変えたことでした。
新しい顧問税理士から「会社に経営理念は
ありますか?」と聞かれましたが、当初
会社には経営理念はありませんでした。
「自分はなぜこの会社を経営しているのか」
「何のためにこの会社が存在しているのか」
を考え文章にするように言われました。
経営理念とはその会社の存在理由です。
会社が何のために存在しているのか?
自分は何のためにこの会社を経営して
いるのか?
・・・経営者の中には、最初は自分が
稼ぎたいから経営の道を選んだという
方も少なくないかもしれません。
しかし、仕事を続けていく中で、お客様に
喜ばれる瞬間が訪れることがあると
思います。そしてもっと喜んでもらいたい
という気持ちが芽生えます。
何のために経営をしているのかと言えば、
やはり「お客様に喜んでいただくために
経営しているのだ」ということに
気づきます。
そういう思いを巡らせながら、社長は
何のために経営しているのかについて
5行ぐらいの文章を作ります。
その文章から言葉を抜粋し、作ったのが
現在の経営理念です。
経営理念ができてからは社員教育にも
力を入れるようになりました。
なぜなら経営理念を作っただけでは、
絵に描いた餅のようなもの・・・。
経営理念を会社に浸透させなければ
意味がありません。社長が自身の
心の中で経営理念を理解しているだけ
では、会社は何も変わらないのです。
社長は経営理念を通して、「何のために
仕事をしているのか」を社員に伝え
続けます。
生活のためにという前に、お客様に喜んで
いただくために仕事をしているのだと・・・。
また、経営理念から、会社が社員に求める
姿勢・態度を箇条書きにした行動規範に
落とし込み、社員教育につなげています。
そして社員の成長を促すために、目標管理
シートを使って、持ち場ごとに各自に
3年ぐらいの目標を設定させています。
また、会社の経営理念、会社の方針に
ついての理解度については毎年自己診断を
行い、確認しています。
教育に力を入れているといっても上から
押し付ける形ではなく、自主性を重んじる
社風ですので、自己診断で本人が答えた
ことはすべて受け入れ、信頼するスタンスを
とっています。
社長は転職で運送業界に来た人が一生
働ける受け皿となることが業界の使命で
あると考えていますから、会社の姿勢
としても社員をできるだけ長く雇用する
ことを前提とし、社員一人ひとりの将来を
考えながら大切に育てています。
社長は言います。「失敗しても大目に
見ながら、大事に育てれば覚えていく。
一人ひとり育てていく。」と・・・。
教育に時間がかかるというのも納得の上
でのことです。
このように比較的自由でオープンな社風
であり、ミスに対しても寛大で、責める
とか詰めるとかいうやり方はしませんが、
経営理念に関して、会社の姿勢を譲る
ことはありません。
ある時、言うことを聞かない社員が
現れました。お客様に挨拶するのが
嫌だというのです。
このような場合、一般的には「挨拶は
人として当たり前のマナーで・・・」と
言い聞かせるような教育になると思い
ますが、この会社は違います。
「ウチの経営理念はこうですよね。
そして経営理念にのっとった行動規範には
「元気に挨拶する」と書かれていますよね。
これをやらないということは経営理念を
守らないということですよ。経営理念を
守らないのであれば、この会社にいる
意味はありません。
経営理念を守りますか?それとも
辞めますか?」という話になり、結局、
言うことを聞かないその社員は辞める
ことになります。
このようにして、経営理念に共感できない
社員は辞めていくことになるのです。
「残った社員は、経営理念に共感して
いるのですか?」と尋ねたところ、
「毎年の自己診断の結果ではそうなって
います。私は、共感してくれていると
信じています」と社長はおっしゃいました。
経営理念に共感した社員が増えてくると、
お客様に喜んでいただくにはどうすれば
いいかを考える社風になります。
お客様に喜んでいただくために一人ひとり
自分ができることを行動に移し、
お客様の喜びにつながる新しいアイデアも
生まれます。このようにしてお客様に
喜ばれ、会社の業績は上がり続けます。