コラム

労働統計について

今回は、「労働統計」についてご紹介いたします。

1.人口動態

厚生労働省が2月27日に公表した
人口動態統計(速報)によりますと、
令和6年の出生数は約72万人となり、
前年より3万7,643人(5.0%)
減少し、過去最少を更新したとのことです。

出生数は9年連続の減少となっており、
その結果、児童数(15歳未満の人口)は
1,366万人となり、44年前の統計
開始以来、初めて1,400万人を下回る
低い水準となりました。

一方、死亡者数は約162万人で、
前年から2万8,181人(1.8%)
増加して過去最多となるとともに、
4年連続での増加となっています。

出生数と死亡者数を加味した自然増減
数は、マイナス89万7,696人で
前年より減少幅が6万5,824人増加し、
過去最多の人口減となりました。

このペースで人口減少が続くと、26年後
には、我が国の人口(4月1日現在1億
2,340万人)は1億人を下回ることと
なってしまいます。

幸い、婚姻数は約50万組で、前年から
1万718組(2.2%)増加しており、
少子化傾向に歯止めが掛かることを
期待させてくれます。

2.在留外国人

日本人の人口減少が進む一方で、在留
外国人の人数は増加傾向にあるようで、
出入国在留管理庁が3月14日に公表した
令和6年末現在における在留外国人数は、
約377万人となり過去最高を更新した
ことが分かりました。

前年度末と比較すると35万7,985人
(10.5%)増加しており、在留資格別
では、「永住者」が91万8,116人
(前年度比3.0%増)と最も多く、次いで
「技能実習」の45万6,595人
(前年度比12.9%増)となっています。

前年度からの増加率でみれば、「特定技能」
が前年度比36.5%増の28万4,466人
で最多となりました。

国籍別では、中国人の87万3,286人が
最多で、ベトナム人(63万4,361人)、
韓国人(40万9,238人)と続いています。

また、「特定技能」の分野では一部在留資格
に関する制度の運用方針が変更されています。
(3月11日政府発表)

具体的には、「介護」「工業製品製造業」
「外食業」の3分野で、就業範囲を広げるなど、
人手不足に対応できるよう制度の見直しを
行ったとのことです。

先ず、介護分野では、現行は認められていない
特定技能外国人の訪問系サービスへの従事を
認めるとしています。

次に、工業製品製造業分野では、特定技能
外国人の適正かつ円滑な受け入れの推進を
担える民間団体を設立し、受け入れ機関に
当該団体への加入を義務付けるというもので、
多発する特定技能外国人との契約上の
トラブルに歯止めを掛ける狙いがあるようです。

最後に、外食業分野では、現行認められて
いない風営法の許可を受けた旅館・ホテル
において、特定技能外国人の飲食提供全般の
就労を認めるようにするとしています。

従来、特定技能を持つ外個人でさえ、
飲食の提供や訪問系の介護が容認されて
いなかったことに、多少理解できる点は
ありますが、少子高齢化が続く日本においては、
外国人労働者との円滑な共存を図っていく
ことも企業や地域社会に課せられた命題かも
しれません。

3.年金財政

厚生労働省が3月27日に公表した
令和5年度の公的年金財政状況報告
(社会保障審議会年金数理部会が、
公的年金の毎年度の財政状況について、
専門的な観点から横断的に分析・評価を
行った結果をとりまとめたもの)によると、
制度全体の財政状況は、運用損益を除いた
収入総額が54.4兆円(徴収した保険料等)
で、支出総額は54.5兆円(年金給付等)
となり、単年度での収支残は0.1兆円の
マイナスとなっています。

更に、時価ベースの運用益は53.6兆円の
プラスで、年度末積立金は304兆円と
なりました。

被保険者数では、令和元年度の見通しに対し、
国民年金第1号被保険者数は減少したものの、
厚生年金被保険者数は上回る状況となって
います。

一方、前述した合計特殊出生率(15~
49歳までの女性の年齢別出生率を合計
したもの)や65歳の平均余命は、
平成29年の推計を下回る水準で推移
していることなどが確認されており、
長期的な観点から財政状況の動向を
注視していく必要がありそうです。

一覧に戻る