コラム
企業の経営理念②
この会社は、経営理念を作成してから、
業績が好転するようになりました。
勿論前回お伝えしたように、経営理念を
浸透させなければ、絵に描いた餅のような
もので、効果はありません。
この会社の場合は、ことあるごとに
経営理念について伝えるなどの
理念教育を継続して、経営理念を浸透
させることによって、業績を伸ばし
続けています。
経営理念には、主に3つの効果があると
言われています。
一つ目は、一人ひとりのベクトルが揃う
ということです。
多くの社員は何のために働くのか、
何のために努力をするのかを理解
できていません。
強いてあげれば、主として、生活の
ためということになるでしょう。
経営理念が浸透すると、社員が何の
ために働いているのかを理解した上で、
努力の方向が揃うようになります。
生活のためではなく、お客様に喜んで
いただくために働き、努力するという
ことを理解するようになるのです。
二つ目は、挑戦意欲、チャレンジ精神を
高めていくことです。
多くの社員は、会社の目標に対して、
挑戦的意欲を持ちません。
「それは社長が決めたのだから、どうぞ
おやりください。私たちは私たちなりに
やります」で終わってしまいます。
目標を設定してもなかなか達成されない
理由の一つがそこにあります。
しかし、的確で魅力的な経営理念が
あれば、社員は自ら挑戦的意欲を掻き
立てていきます。
三つ目は、革新、イノベーションを
加速させることです。
多くの社員は現状維持を望んでいます。
それが、会社がなかなか革新されない
原因の一つです。
しかし、的確で魅力的な経営理念には、
社員に革新のエネルギーを生み出す
力があります。
社員が一つの方向でまとまり、
仕事に挑戦し、現状を変えようと
する意欲のある会社は、魅力的な
経営理念が機能していると言える
のです。
別の視点で見ると、社員は、会社や
社長の指示によって動くというより、
お客様に喜んでいただくために、
自分の意志で、自発的に動くという
ことになります。
この会社もその例外ではありません。
この会社の社員は生き生きと働いて
います。
この会社の素晴らしいところは、
経営理念の浸透に加えて、社風が
とても良いことです。
理念に基づいた行動規範が存在し、
機能していますが、社風は自由で
オープン。
失敗しても責めたり詰めたりせず、
寛容。
経験や年齢によって、仕事のレベルは
様々ですが、その人に応じた仕事の
スタイルを考えてくれる。
つまり、仕事のレベルに応じて、
その人が最も働きやすい方法を
考えてくれるのです。
だから、未経験者でも、自分のペースで
成長でき、長続きするのです。
しっかりした経営理念と、自由で
オープンな社風が、社員の定着率を
上げています。
結果的には、経営理念に共感できず、
社風になじまない社員は早期に
辞めていき、比較的未経験者の多くが、
定着しています。
そして、残った社員は、安心して
伸び伸びと働いているようです。
社長の考えとしては、ドライバーだけ
でなく、倉庫作業員を含めて社員の
頭数が必要であることもあるし、
他業界から流れてきた人たちの受け皿と
なる業界にしたいとの思いがあり、
労働者一人ひとりの希望に応じた
働きやすい職場づくりを目指しています。
それが、今、業績向上、社員定着率向上
という形となって表れているのです。
未経験者の定着率が高いことで、
ハローワークは、この会社に未経験者を
積極的に紹介してくれます。
そして、やる気のある求職者をどんどん
採用し、本人の能力と希望を配慮しながら、
時間をかけて育てていくのです。
それが、とても働きやすい職場づくり
に繋がっているようです。
更に、経営理念と社風の良さは
ウエブサイトにも現れています。
ウエブサイトでは、経営理念を掲げ、
しっかり会社の目指す方向性を示し、
「この業務は、こんな人に向いています」
などのソフトな表現で、希望する人材を
明確にしています。
心地よい社風については、定期的に
社内イベントなどの情報を写真と共に
載せてPRしています。
今の若い求職者は、会社の情報を
ウエブサイトから入手します。
ウエブサイトがない会社に応募は
しません。
ですから、ウエブサイトは必須ですが、
あればよいというものではないと
社長は言います。
「人が来ない原因の一つは、ウエブ
サイトにある。運送業界は死んでいる
ウエブサイトがあまりにも多い。」
死んでいるウエブサイトとは、
1回作ったら更新は一切なし、
新着情報もなし、といった
掲載内容に変化のないウエブサイトの
ことです。
『他業界のウエブサイトは日々変化し、
動いている。そのため、死んでいる
ウエブサイトに人は見向きもしない。
ウエブサイトの印象も大事で、
カッコ良すぎるのもダメ、グダグダ
すぎるのもダメ。
初心者が見やすくて、敷居が低く、
良い雰囲気で、少しナヨっとして
いるのがいい。
「これでどうだ!」というのも
どうかと思う。
ウチこんなにやっています!
というのを一杯アピールされても・・
引いてしまうと思うのです。』と。
「無理せず、3か月に1度ぐらい
でもいいので、見直しすることが、
ウエブサイトを生き生きとさせる
コツだ」と言います。
できれば、そこに社風の良さを
自然に載せることができれば、
経営理念と社風に共感する人が
やってきます。
やはり、求人対策で最も大切なのは、
社員が定着する良い会社にする
ということですね。